作品のテーマ
1992年にイタリアへ渡って、最初の約1年を私が過ごしたのは、ペルージャという街でした。この街はウンブリア州の州都でしたが、中世の町並みが残る静かな美しい所でした。
その後、2002年頃から、イタリアの扉を主に絵を描いてきましたが、2007年に14年ぶりのイタリアに行くことができました。以前住んでいたペルージャの街が、近づく列車の窓から見えた瞬間、息が詰まり、言葉にならない感情でいっぱいになりました。
14年は長い時間でしたが、当時の自分と同じ私がそこにいました。
2010年、今度はペルージャで出会った妻、子供2人の家族と行くことができました。
2016年にはペルージャで“風の行方”という展覧会で、6人展に参加しました。
そうしてイタリアに行く度にそれは私にとって、更に特別な場所になっていき、それを表現したいという気持ちはほとんど衝動とも言えるものです。
それが、私がイタリアの絵を描く理由となっています。
技法について
油絵の具を主に使っています。薄い布(麻・木綿)を膠で張った板の上に描きます。板は、大きさにあわせた厚さの、シナベニアを使っています。
その上から白亜地、油性地に処理をし、油彩で描いていきます。
油彩は乾きが遅い等、欠点もありますが、他の絵の具にない透明感があり、滑らかな階調を表現できます。いろいろな材料を試してきましたが、その特性は自分の表現に合っていると考えています。
額について
殆どの額は、手作りで作っています。今は妻が、組み立て、デザイン、彩色を担当しています。版画等の額は市販のものを加工し、作品として完成させていきます。
絵の題材に合わせ、イタリアにある古い窓枠や教会、建物の木部など、時間を経過した、古びた質感のイメージを表現しています。
絵と合わせて、私の感じているイメージが、少しでも伝えられたらと思っています。